111　Carcharodontosaurus saharicus　　
　 白亜紀中期　　　Taouz,モロッコ産　（ヤフーオークションで購入）

　カルカロドントサウルスはアフリカの”T-rex” とも言われている獰猛な肉食恐竜で、ティラノサウルスによく似た大型の獣脚類の恐竜ですが、体格はティラノサウルスよりも大きく凶暴だったことが近年分かってきました。カルカロドントサウルスとは 『サメの歯を持つトカゲ』 と言う意味です。巨大ザメ、メガロドンのことをカルカロドンとも言いますが、カルカロドントサウルスの歯はティラノサウルスの歯よりも三角形の薄いブレード状で、獲物をカミソリのように鋭く切り裂くのに向いていたようです。その強力な歯は、ナイフの様で、メガロドン・カルカロドンの歯に似た形体であることから『サメの歯を持つトカゲ』という名前の由来となっています。
　この長さが 約 ４．６ｃｍ、重さは 約 １１ｇ の歯はカルカロドントサウルスの奥歯になります。肉食恐竜の歯は前へ行くに従って段々と丈が長くなります。この歯は幅が広く丈が短いずんぐりとした奥歯になります。これはサメの歯にもいえることですが、丈の短い奥歯といえども先端とセレーションはかえって鋭い傾向にあります。
　このカルカロドントサウルスの歯は、鋭く尖った先端と、切縁の内側、外側ともにセレーション（切縁のギザギザ）が本当に見事です。カルカロドントサウルスの歯の先端はほとんどが丸くなっているか、中には欠けているものも多くありますが、これだけ鋭く尖った先端の歯は珍しいと思います。エナメルの面の細かな筋線、紋様も残されており、重みと硬さを感じます。歯の根本に近い色の変わっている部分は、顎の骨の中（歯茎より下）に埋まっていた歯根部のセメント質の部分で、ポッキリ折れた断面の一番外側はエナメル質のクッキリとした層も見て取れます。そして折れた断面内部の中心は神経や血管などが通っていた歯髄腔の空洞までもが、鉱物化して残っております。